月経・卵巣・おりもののお悩み

月経のお悩み

月経困難症(月経痛)

月経痛は、当院でもっとも多く寄せられるご相談のひとつです。診察では、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れていないか、超音波検査などを用いて丁寧に確認します。原因となる病変が見つかる場合もあれば、特に異常がない場合もありますが、どちらの場合も、患者さまの生活スタイルやご希望に合わせて治療方針を一緒に考えていきます。
治療には、低用量ピルや黄体ホルモン療法などのホルモン治療を基本に、必要に応じて漢方薬や鎮痛薬を併用することもあります。治療を始めた後も、副作用や効果の出方を見ながら、無理なく調整を加えていきます。

月経前症候群(PMS)

月経前の時期に心や体の不調が出るPMS(月経前症候群)は、原因がはっきりしないことも多いため、丁寧にお話をうかがいながら、PMSによる症状かどうかを見極めていきます。PMSと診断された場合には、低用量ピルなどのホルモン療法を中心に、症状に応じて治療を行います。
特に精神的な不調が強い場合は、精神科とも連携しながら、抗不安薬などの投薬を検討することもあります。身体的な症状と精神的な症状の両方に目を向けながら、その方にとって最も過ごしやすい毎日を取り戻せるよう、丁寧なサポートを心がけています。

月経不順/不正性器出血/月経量の異常

月経不順は軽度であれば経過観察も可能ですが、たとえば2カ月に1回しか月経が来ない、極端に周期が短い・長いなどのケースは治療の対象となります。原因を調べることで安心できる場合もありますので、一人で悩まずにご相談ください。
女性にとって、月経の悩みは日常生活に支障をきたすほどつらいこともあります。
当院では、症状の改善だけでなく、患者さまの生活の質(QOL)の向上を目指しています。

卵巣のお悩み

卵巣のう腫

卵巣にできるのう腫の中でも、子宮内膜症に関連して発生する「チョコレートのう胞」は、進行性の病気であるため、定期的な超音波検査による大きさのチェックが必要です。自覚症状としては月経痛や下腹部痛、腰痛などがみられますが、無症状のまま見過ごされることもあるため、定期検診による早期発見が大切です。

卵巣腫瘍(良性・悪性)

卵巣にできる腫瘍には良性のものから悪性腫瘍(卵巣がん)までさまざまあり、お腹の張りや急激な体型変化、下腹部の痛みが現れることがあります。超音波検査や血液検査、必要に応じてMRIなどの精密検査を行い、腫瘍の性状を見極めます。腫瘍が急激に大きくなる場合や、強い症状が出る場合は悪性の可能性があるため、早急な対応が必要です。
初期の卵巣疾患は自覚症状が少ないことが多いため、婦人科での定期検診が大切です。
また、「お腹が張る」「腹痛がある」など、別の症状から発見されることも多いので、痛みや違和感があれば、早めにご相談ください。

おりもののお悩み

カンジダ腟炎

腟内に存在するカンジダという真菌(カビの一種)が増殖することで起こります。白くカス状のおりものや強いかゆみ、ヒリヒリ感が特徴的です。おりもの検査によって原因菌を特定し、抗真菌薬による治療を行います。免疫力の低下や抗生物質の使用後に発症しやすく、繰り返す場合は生活習慣の見直しも大切です。

細菌性腟症

細菌性腟症は、腟内の常在菌のバランスが崩れ、悪臭のある灰白色のおりものや不快感が現れる状態です。培養検査によって原因となる細菌を調べ、抗菌薬で治療を行います。ストレスや睡眠不足、性交渉の影響なども関与するため、再発を防ぐには生活習慣の改善も重要です。

トリコモナス腟炎

トリコモナス腟炎は、性感染症の一種で、黄緑色の泡状のおりものや強いかゆみが見られます。顕微鏡検査や培養検査により診断し、抗原虫薬(メトロニダゾール)での治療を行います。パートナーからの感染も多いため、必要に応じて同時治療を行うことが大切です。
おりものはホルモンの影響で変化しますが、急な変化には注意が必要です。デリケートなお悩みのため、相談しづらいかもしれませんが、原因がわかることで安心できる場合も多くあります。